Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
総説
思春期特発性側弯症の長期の自然経過:文献的レビュー
吉田 篤弘赤澤 努鳥居 良昭上野 純梅原 亮飯沼 雅央黒屋 進吾浅野 孝太石森 光一友近 顕仁木 久照
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2021 年 12 巻 11 号 p. 1278-1286

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抄録

背景:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過は未治療でも,のちの健康障害は少ないと結論付けられているが,長期追跡調査を行ったデータは少なく,その解釈も研究者間にばらつきもある.

目的:AISの長期自然経過の文献的レビューを行い骨成熟後に治療介入すべき症例を再評価し,これまでの研究の問題点を抽出すること.

方法:PubMedを用いて文献検索を行い,175文献の内容を確認し最終的に34文献を採用した.

結果:カーブ進行は胸椎カーブで進行しやすく,特に50~75°のCobb角で年間1°以下の進行がある.肺機能はCobb角と関連あり80°以上で日常生活の息切れ,110°以上で呼吸機能不全になりえる.腰痛はCobb角と関連はなく,頻度や重症度は健常群より高い傾向にあった.死亡率や精神疾患の有病率,社会的機能は健常者と比較しても劣っていなかった.過去の研究の問題点は,病因の解明がされていないこと,長期の自然経過に関するデータが少ないこと,Onsetの不確実性がある.

結語:手術介入はCobb角が50度を超える胸椎カーブに考慮すべきでありそれ以外では多面的に考慮すべきである.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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