Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
思春期特発性側弯症Lenke 1A-R,2A-Rに対する後方矯正固定術後のdistal adding-on発生の危険因子と下位固定椎との関連
田中 直和田 簡一郎熊谷 玄太郎浅利 享石橋 恭之
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2021 年 12 巻 11 号 p. 1287-1293

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抄録

Lenke type 1A-R 11例(手術時平均14.6歳),2A-R 11例(手術時平均13.6歳)のAIS患者に対する,選択的胸椎固定術後2年のdistal adding-on(DAO)の発生頻度と要因を後ろ向きに調査した.DAOは12例(54.5%)に発生し,DAO群と非DAO群とを比較すると,DAO群で術前の胸椎主カーブと術後1週の胸腰椎カーブが有意に小さく,術後の胸腰椎カーブ矯正率が有意に高かった.多重ロジスティック回帰解析の結果,DAOの危険因子は胸腰椎カーブ矯正率であり,オッズ比は1.14であった.胸腰椎カーブ矯正率が75%以上であった7例中,DAOが発生した4例は固定尾側端がLTV(Last touching vertebra),LSTV(Last substantially touching vertebra)よりも頭側であり,DAOが発生しなかった3例中2例は固定範囲内に下位終椎,LTV,LSTVの全てを含んでいた.術前に胸腰椎カーブ矯正率が75%以上見込まれる症例においては,DAO予防のため固定範囲内に下位終椎,LTV,LSTVを全て含むようにLIVを設定するのが望ましいと考えられた.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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