2021 年 12 巻 11 号 p. 1294-1299
はじめに:本研究の目的は,特発性側弯症(AIS),lumbar modifier Cを有する症例でLIVをL3に選択した症例における術後長期成績を評価することで,椎間板変性(DD)に影響する因子をX線評価項目から抽出することである.
対象と方法:AIS lumbar modifier C,性別は女性,後方,もしくは前方後方矯正固定術で固定下端椎(LIV)をL3,手術時年齢11歳から20歳,術後10年時にX線,腰椎MRIを施行した44例を対象とした.
結果:術後10年時のMRIにて椎間板変性を21例48%に認めた.椎間板変性の有無で比較検討すると,有意差を認めた項目は術前,術後10年L3/4椎間板角(DA),術前側屈における胸腰椎/腰椎側弯角とflexibilityであった.術前L3/4DAと椎間板変性との関係をみると,L3/4DA>5°で急激に椎間板変性発生率が増加していた.
結語:AIS lumbar modifier CでLIVをL3とした症例では,術直後のL3/4椎間板楔状角のみならず,術前の楔状角度も術後の椎間板変性発生に影響を与えていた.