2021 年 12 巻 11 号 p. 1300-1305
はじめに:術前運動習慣の有無が手術後の思春期特発性側弯症(AIS)患者の腹筋力に与える影響について調査した.
対象と方法:AIS患者59例(全例女性)を対象とし,新体力テストの1種目である上体起こしを用いて術前および術後1年,2年の腹筋力を定量的に評価した.なお,上体起こしは30秒間の最大回数を計測し,得られた計測値から上体起こし術後変化率も算出した.部活動の所属を術前に聴取し運動部群,非運動部群に分け,上体起こしの回数の比較,上体起こし術後変化率と術後Cobb角,Cobb角矯正率,椎体固定数,最固定下端椎体(LIV),長座体前屈との相関をそれぞれ群内で検討した.
結果:運動部群は術後2年で術前と同等レベルまでの改善を認めた一方,非運動群では回復しなかった.上体起こし術後変化率と相関する因子はなかった.
結語:術前に日常的な運動習慣があるとAIS患者の腹筋力は術後2年で術前値と同等レベルまで改善する.