2021 年 12 巻 12 号 p. 1391-1395
はじめに:びまん性特発性骨増殖症(Diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:以下,DISH)を合併した椎体骨折の受傷機序と骨折高位について検討した報告はない.DISHを合併した胸腰椎椎体骨折の受傷機序と骨折高位の関係を調査した.
対象と方法:当院で2011年~2019年に脊椎固定術を行ったDISH合併の胸腰椎椎体骨折25症例を対象とした.年齢,性別,受傷機序,骨折高位,癒合椎体と骨折高位との関係,DISH伸展分類(平井らの方法)について調査した.受傷機序によって高エネルギー外傷群(H群),低エネルギー外傷群(L群)の2群に分け,両群を比較検討した.
結果:H群9例,L群16例で年齢に差はなかった.骨折はL群では胸腰椎移行部での受傷が多い傾向であり(P=0.056),H群では癒合椎体内の中間より頭側に,L群では尾側に生じていた(P=0.047).L群はDISH分類が進行した症例では癒合椎体内のより尾側で骨折していた(p=0.026,rs=0.57).
結語:低エネルギー外傷,DISHの伸展進行症例では胸腰椎移行部より尾側に骨折が多くみられた.