Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
多椎間頚椎前方除圧固定術における除圧方法の組み合わせとC5麻痺の関係
尾立 征一四方 實彦山村 知岡畠 章憲川口 慎治田中 千晶
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2021 年 12 巻 5 号 p. 694-702

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抄録

はじめに:頚椎前方術後C5麻痺に関して椎体亜全摘と椎間除圧の違いに焦点を当てた報告は無い.

対象と方法:C4/5を手術椎間に含んだ839症例を対象として,C5麻痺発症のリスク因子を調査し,特に椎体亜全摘と椎間除圧の組み合わせがC5麻痺発症に及ぼす影響を検討した.

結果:C5麻痺は57例(6.8%)で発症し,麻痺発症の有無で2群に分けて比較した.麻痺群で男性が多く,年齢が高く,手術椎間数が多かった.手術椎間数が増えるほど麻痺発生は高頻度であった.C4/5椎間に関わる除圧は4パターンに分けられたが,C5麻痺発症率はC4とC5椎体亜全摘を行った場合に最も高く(10.1%),C4/5椎間除圧を行った場合が最も低かった(4.1%).独自に除圧組み合わせスコアを創り結果の分析に用いたところ,高スコアの術式であるほど麻痺は高率に発症していた.ロジスティック回帰分析では,性別(男性),除圧組み合わせスコア,年齢が関連因子として挙げられた.

結語:C5麻痺は,高齢・男性・多椎体亜全摘症例で発症しやすく,C4/5椎間除圧症例では発症頻度が低いことから,椎体亜全摘後の過剰な硬膜拡大と固定椎間短縮による椎間孔狭窄の関与が示唆された.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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