Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
脊髄硬膜内髄外腫瘍摘出後に新規発生した神経障害の検討
楠川 智之圓尾 圭史有住 文博楠山 一樹吉江 範親橘 俊哉
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2021 年 12 巻 6 号 p. 859-863

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抄録

はじめに:硬膜内髄外腫瘍摘出術後に新規の神経障害が出現することがあり,運動誘発電位(以下MEP)をはじめ各種モニタリングの使用が推奨されている.本研究の目的はMEPを使用した硬膜内髄外腫瘍摘出術後新規に発生する神経症状を調査することである.

対象と方法:2006年1月から2019年11月までの約13年間に当科で手術を施行した硬膜内髄外腫瘍55例を対象とした.全例MEPによる術中モニタリングを行った.男性29例,女性26例,平均年齢は61.8歳,経過観察期間は平均33.1ヶ月であった.腫瘍発生高位,発生部位,組織診断,術後新規神経障害に関して検討した.

結果:神経鞘腫35例,髄膜腫17例,上衣腫1例,類上皮腫1例,血管腫1例,グロムス腫瘍1例であった.新規神経症状が出現したのは19例(34.5%)で症状の内訳は知覚障害が17例,運動障害が3例,膀胱直腸障害が3例であり,術中にMEPが50%以上低下したのは3例であった.膀胱直腸障害が発生した例はすべて腫瘍が腹側に存在していた.

結語:腫瘍摘出後に新規に神経症状が出現したのは34.5%であった.新規で膀胱直腸障害が出現した例の腫瘍局在はすべて腹側であり注意が必要である.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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