抄録
〔目的〕高齢者の転倒リスク指標としての咬合力評価の有用性を検討した.〔対象〕デイケア利用の虚弱高齢者55名(平均年齢82.9±5.6歳)とした.〔方法〕転倒リスク評価としてFall Risk Index-21(FRI-21)を使用した.咬合力の評価はオクルーザルフォースメーターGM10を用いた.転倒関連因子として,残存歯数,下肢筋力,握力,片脚立位時間,Timed Up and Go test (TUG),Functional Reach Test (FRT)を評価した.ステップワイズ法による重回帰分析を用いて,FRI-21と独立して関連する項目を抽出した.〔結果〕FRI-21と独立して関連の認められた項目はTUGと咬合力であった.〔結語〕咬合力の評価は高齢者の転倒リスクの指標の一つとして有用である可能性が示された.