Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
12 巻, 6 号
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Editorial
総説
  • 高橋 弦, 大鳥 精司
    2021 年 12 巻 6 号 p. 793-799
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    痛みの神経解剖学の知見にもとづき,腰痛が慢性化しやすい原因に関する新たな仮説を提示する.空間弁別能は皮膚,運動器,腰部脊柱管内部の順に低い.腰部脊柱管内部組織の侵害感覚は交感神経性求心性線維により脊髄後角深層に投射する.痛みは感覚面と情動面からなるが,情動は後角深層に発し大脳辺縁系で処理される.腰部脊柱管内部の痛みは空間弁別能が低く,情動系への投射が相対的に強く,ゆえに慢性化しやすいのではないだろうか.

  • 酒井 義人, 若尾 典充, 松井 寛樹, 富田 桂介
    2021 年 12 巻 6 号 p. 800-807
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    慢性疼痛患者は年齢とともに増加し,高齢者では腰痛が最も多い.加齢に伴い細胞老化することでIL-6やIL-1などの炎症性サイトカインが分泌され,慢性炎症が惹起される.この病態については老化と炎症の関連に着目した“inflammaging”という提唱がなされている.運動器においては脂肪組織での炎症が脂肪の増加を惹起し,慢性炎症が骨格筋に及ぶことで骨格筋の減少であるサルコペニアを誘発する.近年報告されているサルコペニアと腰痛の関連はこのような炎症を背景とした老化機序が考えられる.サルコペニアでは四肢に次いで体幹の筋量減少が生じるが,これは脊椎矢状面バランスの悪化を来し腰痛の原因となりうる.一方で,加齢に伴い脊髄後角や末梢神経での病理学的変化も高齢者の疼痛感受性に悪影響を与える.老化機序と慢性疼痛の発現は密接な関係があると考えられ,臨床的に有用な老化マーカーの確立が求められる.我々は老化に伴う脂肪増加と筋量減少がリンクして起こることに着目し,下肢における骨格筋量と脂肪量の比が慢性疼痛発生と関連があることを示した.老化に伴う慢性疼痛の分子メカニズムが解明されれば有効な治療法の開発が期待される.

  • 黒澤 大輔, 村上 栄一
    2021 年 12 巻 6 号 p. 808-813
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    仙腸関節は脊柱の基部で体幹と下肢の境界に存在し,わずかな関節運動で衝撃吸収装置として機能している.不意の動きや繰り返しの動作で関節に微小な不適合が生じて仙腸関節障害が発症する.多くは仙腸関節ブロックによる早期診断と徒手療法を含めた早期治療により解決するが,慢性・重症化して深刻なQOL低下をきたすことがある.難治例は1)外傷性の周囲靭帯・関節包の損傷,2)仙腸関節腔内の炎症,3)周囲靭帯付着部症という3つの病態メカニズムに分類して対応する.明らかな外傷を契機に発症した仙腸関節障害のうち,関節腔内へ注入した造影剤が容易に漏出する症例が存在し,特に若年者では外傷により不可逆的な関節の不適合および周囲靭帯・関節包の損傷が生じたことで,仙腸関節痛が慢性化している可能性がある.仙腸関節の微小な不適合が慢性的に持続すると,関節腔内の炎症を生じることがあり,同様に,仙結節靭帯および長後仙腸靭帯などの仙腸関節周囲靭帯に過剰な牽引力がかかり続けることで,足底腱膜炎と同様の難治性の靭帯付着部症が生じ得る.重症例に対しては関節腔内ブロック,体外衝撃波,仙腸関節固定術を検討する.

  • 稲毛 一秀
    2021 年 12 巻 6 号 p. 814-818
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    我々痛み診療に従事する医師にとって骨粗鬆症と腰痛は非常に密接した病態であり,それらの機序を正確に理解することが診断および治療の観点から非常に重要である.骨粗鬆症患者が腰痛を訴える原因として1.脊椎疾患の合併,2.骨折,3.骨粗鬆化(骨粗鬆状態そのものがもたらす疼痛),4.サルコペニアの合併の4つが注目されている.重要な点は,これらの原因は独立して存在するのではなく,お互いが重複して存在することが多いということである.このことを常に念頭に置き,腰痛のある骨粗鬆症患者を診察,治療していくことが重要であると考える.

原著
  • 黄金 勲矢, 高島 弘幸, 寺島 嘉紀, 吉本 三徳, 竹林 庸雄, 山下 敏彦
    2021 年 12 巻 6 号 p. 819-824
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    慢性腰痛患者における腰痛visual analogue score(VAS)と椎間板T2値,多裂筋と大腰筋の筋細胞内脂肪(intramyocellular lipids:IMCL)および筋細胞外脂肪(extramyocellular lipids:EMCL),脊柱骨盤アライメント,腰椎可動域の関連について検討した.腰痛VASはL4/5の後方線維輪のT2値と有意な負の相関(r=-0.49,p<0.01),多裂筋のIMCLと有意な正の相関(r=0.51,p<0.01),腰椎前弯角と有意な負の相関(r=-0.41,p<0.01),sagittal vertical axisと有意な正の相関(r=0.42,p<0.01)を認めた.L4/5の後方線維輪周囲の豊富な神経支配,IMCLの増加にともなう炎症,脊柱後弯による椎間板への負荷,筋内圧の上昇,筋虚血などが慢性腰痛の一因であると考えられた.

総説
  • 三木 貴弘, 高﨑 博司, 寒川 美奈, 竹林 庸雄
    2021 年 12 巻 6 号 p. 825-830
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    腰痛は世界や本邦において大きな問題となっており,非特異的腰痛は7割程度が4~6週で改善すると言われている一方で,残りの30%ほどは慢性化する.慢性化する非特異的腰痛において,構造的或いは機能的な問題に加えて,心理社会的因子が慢性化や改善の遅延化の原因であることが広く知られている.そこで,生物心理社会モデルに基づいて非特異的腰痛を考えることが必要である.また,腰痛をひとつの病態として捉えるのではなく,特徴ごとにsubgroup化し,それにより特異的な介入の方向性を見極めるclassificationやstratified careの概念が発展している.生物心理社会モデルに基づく非特異的腰痛に対する理学療法マネジメントは罹患期間により異なる戦略が取られ,慢性期においてはより多面的な戦略が必要である.近年提唱されている新たな介入として,“Making Sense of Pain”,“Exposure with Control”,“Lifestyle Change”の三つの構成からなる多面的な介入方法であるcognitive functional therapy(CFT)があり,一定の有効性が報告されている.腰痛における8割が手術の必要がない非特異的腰痛であることからも,理学療法の進化は腰痛に苦しむ人達の大きな一助となる可能性がある.

原著
  • 井上 雅之, 井上 真輔, 西原 真理, 新井 健一, 宮川 博文, 中楚 友一朗, 岡本 卓也, 長谷川 共美, 若林 淑子, 櫻井 博紀 ...
    2021 年 12 巻 6 号 p. 831-839
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:患者教育と運動療法を併用した外来型ペインマネジメントプログラムにおける,慢性腰痛患者に対する有効性および自覚的改善度に影響する因子を検討した.

    対象と方法:対象は,3ヶ月以上持続する慢性腰痛を有する本プログラム参加者83名とした.患者教育と運動療法を組み合わせ,少人数制で週1日,全9回のスケジュールで実施した.プログラム前後に,Visual Analog Scale(VAS),Pain Disability Assessment Scale(PDAS),Hospital Anxiety and Depression scale(HADS),Pain Catastrophizing Scale(PCS),Pain Self-Efficacy Questionnaire(PSEQ),EuroQol 5 Dimension(EQ-5D),6分間歩行距離,等尺性体幹筋力などを評価し,プログラム終了時に自覚的改善度を7段階で評価した.分析は,1)プログラム前後における各評価項目の比較,2)自覚的改善度を従属変数,他の評価項目の変化率を独立変数とする重回帰分析を実施した.

    結果:プログラム前後において,VAS,PDAS,HADS,PCS,PSEQ,EQ-5D,6分間歩行距離,等尺性体幹筋力などの有意な改善を認めた.また,自覚的改善度に影響する因子として,PCS,6分間歩行距離,EQ-5Dが抽出された.

    結語:慢性腰痛患者の自覚的改善度には,破局的思考や運動耐容能,QOLの改善が強く影響する可能性が示唆された.

総説
  • 黒澤 大輔, 村上 栄一, 古賀 公明, 小澤 浩司
    2021 年 12 巻 6 号 p. 840-850
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    仙腸関節障害の多くは保存療法で解決するが,一部難治化した症例では仙腸関節固定術を要すことがある.低侵襲仙腸関節固定術のためのデバイスが開発されたことで,手術治療可能な腰臀部痛として仙腸関節障害が注目されるようになり,欧米を中心に手術件数が急増している.術後の成績を左右する因子として最も重要なのが,仙腸関節障害の確定診断である.本邦では日本仙腸関節研究会が診断アルゴリズムを提唱しており,最終的に仙腸関節ブロックで70%以上の疼痛軽快が得られれば確定診断に至る.低侵襲仙腸関節固定術として,iFUSEインプラントシステム(SI-BONE社,US)が欧米では最も多く使われ,多くの報告で成績が良好である.本邦で行われたパイロットスタディにおいて,手術の簡便さと低侵襲性が優れていることが確認できたが,側方アプローチによる骨盤内血管,神経損傷のリスク,高齢女性では仙骨側でのインプラントの緩みにより長期的な成績が不良となる可能性があることが分かった.インプラントが緩んだ際には,同じ側方アプローチでの低侵襲revision手術が困難であるため,慎重に手術の適応を選ぶべきであると考えられた.

原著
  • 神田 賢, 北村 拓也, 古西 勇, 鈴木 祐介, 渡辺 慶, 佐藤 成登志
    2021 年 12 巻 6 号 p. 851-858
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    座位での異なる姿勢における腰部多裂筋の血液循環動態の経時的変化を,腰痛の有無で検証した.対象者20名(腰痛有無各10名,平均年齢21.1±0.8)に,近赤外線組織血液酸素モニター装置(NIRS)を用い,腰部多裂筋の血液循環動態を,座位体幹中間位,屈曲位,伸展位で測定した.結果,屈曲時は腰痛有群では変化無く,腰痛無群で減少し,伸展時は,腰痛有群では小さい動作でも改善し,腰痛無群では大きな動作が必要なことが示唆された.

  • 楠川 智之, 圓尾 圭史, 有住 文博, 楠山 一樹, 吉江 範親, 橘 俊哉
    2021 年 12 巻 6 号 p. 859-863
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:硬膜内髄外腫瘍摘出術後に新規の神経障害が出現することがあり,運動誘発電位(以下MEP)をはじめ各種モニタリングの使用が推奨されている.本研究の目的はMEPを使用した硬膜内髄外腫瘍摘出術後新規に発生する神経症状を調査することである.

    対象と方法:2006年1月から2019年11月までの約13年間に当科で手術を施行した硬膜内髄外腫瘍55例を対象とした.全例MEPによる術中モニタリングを行った.男性29例,女性26例,平均年齢は61.8歳,経過観察期間は平均33.1ヶ月であった.腫瘍発生高位,発生部位,組織診断,術後新規神経障害に関して検討した.

    結果:神経鞘腫35例,髄膜腫17例,上衣腫1例,類上皮腫1例,血管腫1例,グロムス腫瘍1例であった.新規神経症状が出現したのは19例(34.5%)で症状の内訳は知覚障害が17例,運動障害が3例,膀胱直腸障害が3例であり,術中にMEPが50%以上低下したのは3例であった.膀胱直腸障害が発生した例はすべて腫瘍が腹側に存在していた.

    結語:腫瘍摘出後に新規に神経症状が出現したのは34.5%であった.新規で膀胱直腸障害が出現した例の腫瘍局在はすべて腹側であり注意が必要である.

  • 古高 慎司, 藤原 靖, 大田 亮, 西森 誠, 角西 寛, 村上 弘明, 大田 悠貴, 岩佐 和俊, 上妻 陽介, 安達 伸生
    2021 年 12 巻 6 号 p. 864-869
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,除圧椎間数の術後腰椎機能への影響について検討することである.

    対象と方法:当科にて腰部脊柱管狭窄症と診断し顕微鏡視下後方除圧術を施行し,術後1年以上の経過観察が可能であった291症例を対象とした.術前と術後1年のJOAスコアと日本整形外科学会腰痛疾患問診票(以下JOABPEQ)の各重症度スコア,腰痛のvisual analogue scale(以下VAS)を計測した.1椎間除圧群(S群)と2椎間以上除圧群(M群)の2群間で比較し,さらに,手術椎間数と,JOABPEQの各重症度スコア,腰痛のVAS,平林の改善率との相関性をSpearmanの順位相関係数を算出し検討した.

    結果:JOABPEQの重症度スコアである腰椎機能障害と歩行機能障害,社会生活障害,心理的障害の術後スコアとその変化量について,S群が有意に高値であった.手術椎間数と歩行機能障害の変化量に負の相関を認めた.

    結語:初回手術の他椎間に対する再手術を防ぐためには複数椎間手術を躊躇してはならないが,術後の腰椎機能の低下や腰痛を防ぐためには,それぞれの症例について年齢や責任高位,脊柱管面積などを検討し,適切な除圧椎間を決定することが重要である.

  • 野邊 和泉, 安宅 洋美, 望月 江梨子, 志田 菜都美, 丹野 隆明
    2021 年 12 巻 6 号 p. 870-874
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:当院では腰椎手術患者に対する術後早期の理学療法として,座位での両上肢拳上位にて左右股関節を交互に屈曲させるエクササイズ(術後Ex)を施行してきた.術後Exにおける両上肢挙上および股関節屈曲運動が体幹筋活動に与える影響について,表面筋電図波形を用いて検討した.

    対象と方法:対象は健常成人10例,測定筋は外腹斜筋(EO),内腹斜筋(IO),腰部脊柱起立筋(LE)とした.動作項目は,1)両上肢下垂位での測定同側股関節屈曲,2)両上肢最大挙上位での同側股関節屈曲,3)両上肢下垂位での測定対側股関節屈曲,4)両上肢最大挙上位での対側股関節屈曲とし,安静座位を基準値としてその変化量を求めた.

    結果:EOおよびIOでは同側股関節屈曲に両上肢拳上を加えることで有意に高い筋活動を示した(p<0.05).LEでは各動作で筋活動の増加はみられなかった.

    結語:当院術後Exは,術創部の腰部脊柱起立筋に負荷をかけず,両上肢拳上により胸郭‐脊柱‐骨盤帯を安定させつつ,股関節屈曲による腹斜筋群の活動性増強効果をさらに増強する効果があり,術後早期の運動療法として有効であると考えられた.

  • 藤原 達彦, 明田 浩司, 竹上 徳彦, 山田 淳一, 近藤 哲士, 浅沼 由美子, 今西 隆夫, 須藤 隆夫, 湏藤 啓広
    2021 年 12 巻 6 号 p. 875-881
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:我々は過去に骨粗鬆症性椎体骨折(以下OVF)に終板,椎間板損傷が高率に合併するが,骨癒合には有意な影響を及ぼさない事を報告した.OVF治療成績評価には骨癒合のみならず,椎体の圧潰程度を評価する事は重要である.本研究の目的は,急性期OVFの終板,椎間板損傷が椎体圧潰の進行に影響するかを調査する事である.

    対象と方法:急性期OVFに対して保存療法を行った72例(平均79.5歳)を対象とした.椎体圧潰は半定量的評価法(SQ法)にて分類した.年齢,性別,骨折高位,受傷時MRIでの終板損傷,椎間板損傷,後壁損傷を検討項目とした.受傷後6ヶ月の時点で,SQ法の1段階以上進行したものを「圧潰進行あり群」とし,不変のものを「圧潰進行なし群」として2群間を比較検討した.

    結果:72例中13例(18%)に椎体圧潰進行を認めた.椎間板損傷の合併例では20%(10/51例),終板損傷では19%(8/42例)で椎体圧潰が進行し,それらの損傷がない症例7%(1/14例)と比較して高い傾向を認めたが,統計学的な有意差には達しなかった.

    結語:急性期OVFの終板や椎間板損傷が椎体圧潰進行に影響する傾向を認めた.今後,症例数を増やし,臨床症状との関連性を含め検討する必要がある.

  • 高谷 純司, 中村 英次郎, 吉岩 豊三
    2021 年 12 巻 6 号 p. 882-886
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:コンドリアーゼは腰椎椎間板を減圧しヘルニアの症状を軽減する.しかし効果の発現時期が不明瞭なことが臨床上の不満点である.本研究ではコンドリアーゼの効果を投与後早期の成績から予測した.

    対象と方法:2018年8月から2019年11月の間に,腰椎椎間板ヘルニアに対しコンドリアーゼを注入し,12週後まで経過観察可能であった48例を対象とした.調査済みのOswestry Disability Index(ODI, 0~45点)を解析した.投与前を基準とし1,4,12週後における変化量の多重比較検定(Friedman検定,Wilcoxon符号順位検定,Bonferroni補正)および,変化量の単回帰分析を行った.臨床上有意な最小の変化の達成率も計算した.

    結果:1,4,12週後のODI変化量は,経過とともに有意に大きくなった(すべてp<0.001).ODIの1週後の結果から4,12週後の,また4週後の結果から12週後の結果を予測可能と分かった(すべてp<0.001.決定係数は4~12週後の0.72が最も強かった).1週後に27%,4週後に50%,12週後に75%の症例で,臨床上有意な最小の変化を達成した.

    結語:コンドリアーゼ治療の4週後の効果は1週後に,また12週後の効果は1および4週後に予測できる.特に4週後と12週後は非常に強い関連を示す.

  • 塚本 友里子, 久保田 祐司, 岡地 光士郎, 三橋 彩乃, 中村 俊文, 折田 純久, 大鳥 精司, 寺門 淳
    2021 年 12 巻 6 号 p. 887-893
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:青少年の腰椎分離症はスポーツを行う者に多く発症する疲労骨折である.早期発見・治療を行えば多くは癒合するが,治癒後に腰痛を再発しさらには腰椎分離症を再発する例も存在する.しかし,その再発に関する調査・報告例は少ない.そこで今回我々は腰椎分離症の治癒後の予後調査を行うことを目的とした.

    対象と方法:腰椎分離症と診断された18歳以下の患者で骨癒合が得られた108名を対象とし,電話及び紙面にて治療後のアンケート調査を行った.

    結果:回答は108名中64名(回答率59%).腰痛再発者は64名中28名(44%)であった.男女別では女性,腰椎分離症の高位別ではL3,罹患タイプ別では『新鮮/陳旧』,CT分類別では病期が進行していた者に腰痛再発が多い傾向にあったが有意差はなかった.腰痛再発者のうち当院を受診した11名に対してMRI・CTを施行した結果,腰椎分離症の再発を3名(27%)に認めた.

    結語:腰椎分離症が骨癒合した患者に対してアンケートによる予後調査を行ったところ,44%に腰痛再発を認めた.そのうち当院を受診した患者の27%に腰椎分離症の再発を認めた.

症例報告
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