2021 年 12 巻 6 号 p. 875-881
はじめに:我々は過去に骨粗鬆症性椎体骨折(以下OVF)に終板,椎間板損傷が高率に合併するが,骨癒合には有意な影響を及ぼさない事を報告した.OVF治療成績評価には骨癒合のみならず,椎体の圧潰程度を評価する事は重要である.本研究の目的は,急性期OVFの終板,椎間板損傷が椎体圧潰の進行に影響するかを調査する事である.
対象と方法:急性期OVFに対して保存療法を行った72例(平均79.5歳)を対象とした.椎体圧潰は半定量的評価法(SQ法)にて分類した.年齢,性別,骨折高位,受傷時MRIでの終板損傷,椎間板損傷,後壁損傷を検討項目とした.受傷後6ヶ月の時点で,SQ法の1段階以上進行したものを「圧潰進行あり群」とし,不変のものを「圧潰進行なし群」として2群間を比較検討した.
結果:72例中13例(18%)に椎体圧潰進行を認めた.椎間板損傷の合併例では20%(10/51例),終板損傷では19%(8/42例)で椎体圧潰が進行し,それらの損傷がない症例7%(1/14例)と比較して高い傾向を認めたが,統計学的な有意差には達しなかった.
結語:急性期OVFの終板や椎間板損傷が椎体圧潰進行に影響する傾向を認めた.今後,症例数を増やし,臨床症状との関連性を含め検討する必要がある.