Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
非骨傷性頚髄損傷に対する急性期脊髄除圧術の有用性と限界
北原 功雄白鳥 寛明米谷 博志
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2021 年 12 巻 7 号 p. 910-916

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抄録

非骨傷性頚髄損傷で運動麻痺を呈し,急性期除圧術を施行した全16症例は,すべて転倒による軽微な過伸展損傷により重度の症状をきたした.とくに高齢で高度脊髄圧迫を伴った症例で成績は不良であった.中心性頚髄損傷による下肢運動麻痺は比較的軽度で,膀胱機能障害,歩行障害に改善傾向があった.しかし上肢機能の回復が悪くADL獲得は不十分であった.急性期除圧術に関しては,脊髄除圧術を受傷後3日以内に施行した例では,高度脊髄圧迫例でもやや改善傾向にあった.しかし脊髄除圧術を受傷後4日以降に施行した症例では改善回復は乏しく,とくに脊髄圧迫率の大きい高齢者では改善を認めなかった.周術期合併症に関しては,大きな問題はなく,早期離床に妨げをきたした症例はなかった.非骨傷性頚髄損傷に対する急性期脊髄除圧術の治療成績は,高齢者で高度の脊髄圧迫を伴った場合には,早期の脊髄除圧術と早期離床とリハビリテーションが重要と考えた.

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© 2021 Journal of Spine Research編集委員会
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