Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
胸腰椎化膿性脊椎炎に対する後方instrumentationを併用した前方掻破骨移植術の治療成績
竹内 陽介角南 貴大清水 知明猪股 兼人会田 育男
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2022 年 13 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

はじめに:当院では胸腰椎化膿性脊椎炎の手術加療として後方instrumentationを併用した前方掻破骨移植術を第一選択としている.

対象と方法:2015年4月から2020年3月まで本法で加療した連続16例を対象とした.男性12例,女性4例,平均年齢69(12~60)歳,平均経過観察は35(12~60)ヶ月だった.罹患高位はT5/6~L5/Sであった.併存症は糖尿病が10例と最多だった.主たる手術適応は骨破壊,難治性疼痛であった.Radicalな前方掻破と自家腸骨移植を行い,後方固定は経皮的椎弓根screwを主に使用した.患者背景因子,手術関連因子と臨床成績を調査した.統計学的検討を行いP<0.05を有意差ありと定義した.

結果:入院後平均22日で再建術が行われた.術前CRPは平均2.9 mg/dlと入院時に比べて有意に低下した(P<0.001).起因菌は15例に同定された.再建順序は前方後方が12例と最も多かった.腰痛VAS,障害老人自立度判定基準を用いたADLは術後有意に改善し(P<0.001),最終観察時13例(81%)に実用性歩行が獲得できていた.全例で感染は治癒し,15例(94%)で骨癒合が得られた.罹患椎体screwは13例(81%)に使用したが,臨床的問題を生じなかった.罹患椎体screwを使用した例は,しない例に比べて有意に後方固定椎間数が短かった(P<0.001).

結語:本法により良好なADLの改善と感染治癒が期待できる.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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