Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
成人脊柱変形術後proximal junctional failure予防に対する棘突起ポリエチレンテザー法の有効性の検証
圓尾 圭史有住 文博木島 和也吉江 範親楠川 智之橘 俊哉
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 13 巻 11 号 p. 1237-1242

詳細
抄録

はじめに:成人脊柱変形(ASD)術後のproximal junctional kyphosis,failure(PJK/PJF)を予防するため固定近位端(UIV)付近への棘突起ポリエチレンテザーの効果を後ろ向きに検討した.

対象と方法:当院でASD手術を行った87例を対象とした.棘突起ポリエチレンテザーを使用した群(Tether weave technique:TW群)が21例で使用していない66例を対照群とした.TW群はUIV頭尾側の棘突起3椎体にポリエチレンテープを8の字に通してロッドにクランプで固定した.2群間でPJFの頻度,年令,性別,術式,X線パラメータ(TK,LL,PI,PT,SVA)を比較検討した.

結果:PJFは対照群で36%がTW群では24%と減少傾向を認めたが有意差を認めなかった(P=0.278).年齢(TW群71.6歳,対照群71.6歳,P=0.486),性別(女性TW群71%,対照群77%,P=0.585)は2群間で有意差を認めなかった.UIVのフック使用(TW群10%,対照群70%,P<0.001),チタンロッド使用(TW群100%,対照群74%,P=0.009),ロッド径6 mm(TW群71%,対照群8%,P<0.001),骨盤固定(SAI使用TW群100%,対照群67%,P=0.009)は2群間で有意差を認めた.X線パラメータはすべて2群間で有意差を認めなかった.

結語:棘突起ポリエチレンテザーはPJFの発症を有意に減少させなかったが,PJFの原因は多因子で術式が不均一であり経過観察期間も短いため今後さらなる検討が必要である.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top