2022 年 13 巻 11 号 p. 1229-1236
はじめに:成人脊柱変形(ASD)術後早期のリハビリテーションは日常生活動作(ADL)の回復に影響するとされているがその報告は少ない.今回ASD術後早期のADL自立度が術後2年の健康関連QOL(HRQOL)に与える影響を調査した.
対象と方法:2011年から2018年の間にASDと診断され,術後2年以上の経過観察が可能であった48症例を対象とした.術後1ヶ月のBarthel Indexが85点以上の自立群34例と80点以下の介助群14例の2群に分け,X線パラメータ(SVA,LL,PT,PI)を2群間で比較した.さらに,術前から術後2年のHRQOLをODIとSRS22で分析した.
結果:術前BI・ODI・X線パラメータは2群間で有意差を認めなかったが,術前の年齢とSRS22の疼痛及びメンタルヘルスのドメインは,自立群に比べて介助群で有意に低かった(p<0.05).術後X線パラメータは2群間で有意差を認めず,また,両群とも手術により有意に改善していた.
結論:術前の年齢が高く,疼痛が強く,精神的に不安定な患者は,術後早期のADL自立が獲得できず,かつ,術後2年の健康関連QOLにも影響していた.