2022 年 13 巻 11 号 p. 1186-1194
はじめに:本研究では,術後2年経過した思春期特発性側弯症(AIS)患者における脊椎固定術がグローバルな脊椎可動性に及ぼす影響と健康関連QOLを調査した.
対象と方法:対象は後方矯正固定術を施行したAIS患者35例である.体幹可動性検査(前屈・左右側屈・伸展)とSRS-22を行った.最固定下端椎体(LIV)高位でT群10例(LIVがL1以上)と,T+L群25例(LIVがL2以下)の2群で検討した.さらに前屈ではLIVがL2以上群とL3以下群に分け検討した.比較内容は,2群間の脊椎可動性とSRS-22である.
結果:術後2年では,前屈を除き術前レベルまで改善した.T群とT+L群の術後2年では,左側屈と前屈に有意差を認めた.術後2年では,SRS-22スコアのFunctionでT群とT+L群との間に有意差を認めた.
結語:LIVがL2以下となると術後2年が経過してもLIVがL1以上の群と比較して有意に可動性低下があった.前屈は,LIVがL2以上群では術前よりも有意に改善したが,LIV高位との相関を認めなかった.SRS-22のFunctionでもLIVがL2以下の群では有意な低下を認めた.