Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
軸椎歯突起骨折の有限要素解析
小林 孝巨郭 墅森本 忠嗣東藤 貢前田 和政吉原 智仁馬渡 正明
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2022 年 13 巻 12 号 p. 1282-1287

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抄録

はじめに:高齢者における低エネルギーの伸展損傷による軸椎歯突起骨折のメカニズム(あるいは発生機序)は結論づけられていない.本研究の目的は,高齢者における頸椎の伸展損傷による軸椎歯突起骨折のメカニズム(発生機序)を有限要素解析によって調査する事である.

対象と方法:65歳女性(症例1),77歳男性(症例2),73歳男性(症例3)を対象にし,各々の症例で軸椎(C2)単体モデルと後頭骨(C0)-環椎(C1)-C2複合体モデルを作成した.C2下面で完全固定とし,C2単体モデル/C0-C1-C2複合体モデル各々にC2/C0前方より2,000 Nの水平外力を加えた.各症例でC2の平均骨密度,相当応力,破壊状態を調査した.Andersonらの分類に準じて,I型(歯突起先端の斜骨折),II型(歯突起基部までの骨折),III型(椎体骨折)に分類した.

結果:症例1,2,3のC2モデル骨密度は各々,420 mg/cm3,610 mg/cm3,620 mg/cm3であった.症例1,2,3のC2モデル/C0-C1-C2複合体モデルで,II型の軸椎歯突起骨折部位に応力集中と破壊を認めた.

結語:頸椎への伸展外力によりII型の軸椎歯突起骨折をきたしやすいことが示唆された.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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