Journal of Spine Research
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症例報告
胸椎に発生したメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)により急速な両下肢麻痺を呈した1例
貝沼 慎悟福岡 宗良渡邊 宣之早川 和男山田 宏毅遠藤 浩二郎神田 佳洋井村 直哉
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2022 年 13 巻 4 号 p. 720-725

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抄録

はじめに:メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)はMTX内服中に認められるリンパ増殖性疾患の総称である.今回我々は,胸椎にMTX-LPDが発生した極めて稀な症例を経験したため報告する.

症例:37歳女性.関節リウマチと診断され,10年前からMTXを内服していた.両下肢の麻痺を認め近医を受診したところ,緊急MRIでTh11椎体周囲に腫瘍性病変を認めた.両鼠径部から遠位の感覚は肛門周囲を除いて脱失しており,両下肢の筋収縮は全く認めなかった.同日,緊急でTh10~11椎弓切除および腫瘍の部分切除を行った.病理組織学的診断は悪性リンパ腫であった.MTXの投与を中止し,2週間後のMRIで腫瘍の著明な縮小を認めたが,4週間後に再発した.

結語:MTX-LPDは骨や関節などのリンパ節以外の組織でも発生する可能性があるため,MTXによる治療を受けている患者の脊椎脊髄腫瘍を鑑別する際に考慮するべき疾患である.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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