2022 年 13 巻 5 号 p. 763-769
はじめに:小児ダウン症に対する後頭骨頸椎,上位頸椎後方固定術後の5年間の頸椎アライメント,椎体,椎間板,脊柱管の変化を調査する.
対象と方法:ダウン症上位頸椎病変に対する後方固定術を施行し,5年以上経過観察が可能であった7例を対象にO-2 angle,C1-2 angle,C2-7angle,各椎体高,椎体前後径,椎体横径,椎間板高,脊柱管前後径,左右径を術前,術後1,2,3,5年時にそれぞれ計測した.
結果:後頭骨―軸椎4例,環椎―軸椎固定3例に施行された.C2-7椎体高,椎体前後径,C6/7椎間板高は術後有意に増加した一方で,脊柱管前後,横径に各群間で有意差を認めなかった.
結語:小児ダウン症上位頸椎後方固定術後,固定尾側端である軸椎にも椎体高,椎体前後への成長を認めた.一方で,脊柱管内は成長に伴う変化は少なかった.軸椎にスクリュー刺入しても残存する骨端核より成長が望めること,脊柱管は5歳で成人に近い面積に成長することが明らかとなった.