2022 年 13 巻 5 号 p. 758-762
はじめに:椎弓根に挿入したプローブや椎弓根スクリュー(PS)に電気刺激を行い,Triggered Electromyography(tEMG)を測定した.今回tEMG測定によってスクリューの穿破や神経損傷を回避できたか評価したので報告する.
対象と方法:2018年1月から2020年4月までにPS挿入時にtEMGを測定した56例(294本)を対象とした.tEMGは刺入したプローブ,もしくはPSに専用刺激電極を取り付け通電し,10 mA以下で近接する神経根に対する筋電図が得られなければ穿破はないと判断した.術後CTを用いてPSの最終設置および入れ替え例における初回挿入経路の位置確認を行った.
結果:294本中6本(6例)において10 mA以下で該当する神経根領域の筋電図が得られ挿入経路を変更した.これらの症例の術後CTにおいて初回挿入経路の穿破が確認された.
結語:tEMGで反応があった6症例は椎弓根穿破が認められた.もしそのまま挿入された場合,術後神経障害の可能性が示唆された.tEMGが確認された場合にはPS挿入経路の変更が術後神経障害の予防になり得ることが示唆された.