Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
総説
胸部X線写真から椎体骨折・骨密度を予測するAIの開発 ―多施設共同研究―
佐藤 洋一山本 乃利男稲垣 直哉家崎 雄介朝本 学宗本田 聖和鈴木 朋浩牧 聡高原 俊介
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2023 年 14 巻 6 号 p. 818-823

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抄録

超高齢化社会に突入した本邦では,骨粗鬆症を罹患する患者が増加しているが,未だ治療介入率は高くない.効率的かつ効果的な介入のために,骨粗鬆症の評価を(1)特別な検査機器を必要とせずに(2)従来の診療の流れを変えない形で行うことで,この社会課題を解決する一助になると考えた.そこで我々は,一般的かつ撮影頻度が高い胸部X線写真に着目し,胸部X線写真から骨粗鬆症を評価する2つのAI(artificial intelligence)を開発した.1つ目のAIが,椎体骨折を有する患者の早期発見を目的とした,胸部X線写真から椎体骨折を予測するAIである.5,791枚の医療画像から開発したこのAIは,AUC(Area Under the Curve)=0.98で胸部X線写真内の椎体骨折の有無を予測した.2つ目のAIは,骨量の評価を目的とした,胸部X線写真から骨密度を予測するAIである.17,899件の胸部X線写真および骨密度計測結果から開発したこのAIは,相関係数(R)=0.75で骨密度を予測した.本研究で開発したAIは,骨粗鬆症の治療介入の際に重要な要素となる椎体骨折や骨密度を,胸部X線写真から高い精度で予測することができた.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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