Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
成人脊柱変形に対するmulti-rodを用いたcircumferential minimally invasive surgeryにおけるロッド折損危険因子の検討
石原 昌幸谷口 愼一郎足立 崇朴 正旭谷 陽一田中 貴大川島 康輝政田 亘平安藤 宗治齋藤 貴徳
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 14 巻 7 号 p. 1012-1022

詳細
抄録

目的:成人脊柱変形(ASD)に対して側方経路腰椎椎体間固定(LLIF),経皮的椎弓根スクリュー(PPS),multi rodを使用したcircumferential minimally invasive surgery(CMIS)-multi rodにおけるロッド折損(RF)危険因子を検討した.

対象及び方法:2018年以降当院にてCMIS-multi rodを施行し2年以上経過観察可能であったASD患者102名を対象とした.固定範囲は全例下位胸椎から骨盤までとした.平均年齢は72.1歳,平均経過観察期間は54ヶ月であった.Rodは全例5.5 mmチタン合金を3本使用した.折損の割合,折損時期,折損レベルを調査し,さらに折損群(RF群)と折損無し群(non RF群)において術前後各種パラメーター等比較検討した.

結果:折損レベルはL3/4で1例,L4/5で9例,L5/S1で3例認め,L4/5のうち2例は癒合後折損であり,また13例中7例は前縦靭帯(ALL)損傷を合併していた.二群間において年齢,性差,ロッド素材,ロッド径,ロッド本数において有意差は認めなかった.RF群において術前後PI,術前及びLLIF後,術後のPI-LL,術前及びLLIF後2/3PI-LLL,PPSによるLLL変化量(PPSΔLLL),術後PTが有意に大きく,術前LLL及び術前TKが有意に小さかった.P<0.01であった術前後PI,術後PI-LL,術前及びLLIF後2/3PI-LLL,PPSΔLLL及びALL損傷の7項目を独立変数とし,多変量解析を行った結果PPSΔLLL及びALL損傷が危険因子となり,ROC解析にてPPSΔLLLのカットオフ値は8度であった.

結語:ASDに対するCMIS-multi-rodにおけるRF危険因子を検討した.PPSΔLLL及びALL損傷がRF危険因子であった.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top