2023 年 14 巻 7 号 p. 1023-1031
骨性癒合を有する成人脊柱変形(ASD)において,側方経路椎腰椎体間固定(LLIF)単独による骨性癒合解離基準限を調査した.
対象:2016年から2020年までの間,術前CTで骨性癒合が確認されLLIFとPPSで手術施行したASD患者14名19椎間を対象とした.骨性癒合レベル,骨性癒合形態(前方/後方,片側/両側),骨性解離手順を評価した.骨性癒合形態は前方および後方それぞれにおいて片側癒合もしくは両側癒合に分類した.また後方椎間関節癒合においては,端で架橋するGrade 1と椎間関節裂隙が消失し,強固に癒合しているGrade 2に分類した.解離手順はA:LLIFのみ,PA:後方骨切り(PCO)+LLIF,PA:LLIF+PPS固定とした.
結果:平均年齢は69.2歳,男性7名,女性7名であった.病態は思春期特発性側弯症(AIS)遺残変形が10例と最多であった.前方単独の骨性癒合,もしくは前後方癒合でいずれも片側癒合の場合は全例LLIF単独で解離が達成されていた.一方前後方癒合のうち,いずれかが両側癒合の症例では前方単独での解離は達成されておらず,すべてPCO併用か,PPSでの矯正時に解離が達成されていた.前後方癒合,後方両側癒合,椎間関節grade 2の1例は解離が達成されなかった.
結語:ASDにおけるLLIF単独解離達成基準を調査した.前方のみ,もしくは前後方の片側癒合のみであればLLIF単独で解離が達成されていた.前後方癒合のうち,前方もしくは後方のいずれかが両側癒合で椎間関節grade 2であればLLIFによる解離は難しいことが示唆された.