Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
14 巻, 7 号
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Editorial
原著
  • 池田 光正, 宮本 裕史, 青山 真吾, 鳥海 賢介
    2023 年 14 巻 7 号 p. 985-991
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:血液透析患者に発生した脊髄症は脊椎破壊性変化を合併することがあり,インストゥルメントを併用した手術は難易度が高い.今回,頚椎椎弓形成術(LP)単独と後方固定術(PF)を併用した例の手術成績を調査した.

    対象および方法:頚髄症を呈したHD患者23名,平均年齢70歳を調査した.術式はLP(A群)10名,LP+PF(B群)13名とした.JOAスコア,JOAスコア改善率,C2/7角,局所後弯角は術前,最終追跡時(FU)に調査した.

    結果:JOAスコアはA群:術前/FU:7.9/10.4点,平均改善率35.5%,B群:6.9/9.9点,平均改善率44.3%であった.C2/7角はA群:術前/FU:10.9/13°,B群:-2.6/1.6°,局所後弯はA群:認めず,B群:-14.6/-4.1°であった.隣接障害2例,C5麻痺2例を認めたが,死亡(周術期)は認めなかった.

    結語:重症なDSA症例であっても除圧に後方固定術を併用することで良好な成績が得られた.

  • 柴山 元英, 伊藤 全哉, 中村 周, 清水 賢三, 伊藤 不二夫, 三浦 恭志
    2023 年 14 巻 7 号 p. 992-998
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:我々は頚椎椎間板ヘルニアに,前方から経椎体経路でキーホールの孔を開け,顕微鏡下にヘルニア切除術を行っている.手術の適応と手技の工夫について報告する.

    対象および方法:半年以上観察できた23例(男18,女5例,平均49.3歳).手術は前方進入で顕微鏡下に椎体にキーホールを開けヘルニアを切除する.術後の痛み改善と,画像検査で当該椎間板の高さと可動域を調査した.

    結果:手術は全例,脊柱管内のヘルニア症例であった.頚部と上肢の痛みは大幅に改善した.平均経過観察26ヶ月で1例を除き,椎間板の可動域は保たれ術前とほとんど変化なかった.大きな合併症はなかったが除圧不足2例と血腫1例で再手術が行われた.

    結語:本法は昔からある手術だが,適応が曖昧で普及していなかった.椎間孔のヘルニアは手技的に難しく,脊柱管内のヘルニアが良い適応である.椎間板の可動域を温存でき,人工物も挿入しないので,特に若年者には利点が多い.今研究では2年ほどの観察で,椎間板高は1年に約0.5 mm減少したが,ほとんどの例で椎間板可動域が温存できていた.また本法について我々の手技の工夫も紹介する.

  • 山村 亮, 工藤 理史, 百々 悠介, 土谷 弘樹, 早川 周良, 江守 永, 丸山 博史, 岡野 市郎, 安川 泰樹, 白旗 敏之, 豊根 ...
    2023 年 14 巻 7 号 p. 999-1004
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:両開き用頸椎プレート(CENTERPIECE,Medtronic社)を使用した15例を調査し,短期臨床成績を検討した.

    対象と方法:2021年3月以降,両開き式用チタン製スペーサーを使用した18例の内,6ヶ月以上の経過観察が可能であった15例(男性9例,女性6例)を対象とした.手術時間,出血量,術中術後合併症,術前・術後6ヶ月時JOAスコア,術前・術後6ヶ月時平均中間位C2-7角,術後6ヶ月時単純CTにおけるヒンジ部骨癒合を検討した.

    結果:平均手術時間は106分(76~138),平均出血量は109 cc(30~339)であった.1椎弓でスクリューが効かず,HAスペーサー設置となった.術後C5麻痺を1例とスクリューのバックアウトを1本認めた.平均中間位C2-7角は術直後4.9°,術後6ヶ月6.3°であった.術後6ヶ月でのJOA改善率は68.4%,ヒンジ部骨癒合率は77%であった.

    結語:手術手技上のピットフォールや工夫はいくらか存在するものの,設置は容易であり,初期固定力に優れていた.よって,本システムは両開き式頸椎椎弓形成術に対するオプションの1つになり得ると思われる.

  • 大塚 聖視, 川端 哲, 村上 英樹
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1005-1011
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:化膿性脊椎炎の治療は安静と抗菌薬投与による保存治療が原則とされるが,治療に長期間を要することが多く,合併症が問題となる.当院では,保存治療抵抗性の症例に対し経皮的椎弓根スクリュー(以下PPS)および完全内視鏡下脊椎手術(FESS)を使用した治療を行っておりその有用性を報告する.

    対象と方法:対象は2017年4月から2021年3月に手術加療を行った15例で,基礎疾患,起炎菌,罹患高位,保存治療開始から手術までの日数,手術方法,術後CRP陰性化までの期間および術後の入院期間を検討した.

    結果:男性12例,女性3例,平均年齢は69歳で,全15例に基礎疾患を認め,起炎菌は13例で同定可能であった.罹患高位は胸椎2例,腰椎13例で,保存治療開始から手術までの平均日数は39日.手術の内訳はPPS9例,FESS2例,FESS+PPSが4例であった.術後CRP陰性化までの期間は平均30日,入院期間は平均74日であった.全15例で感染は鎮静化した.

    結語:保存治療抵抗性の症例に対して,PPS,FESSそれぞれの利点を生かし,症例によってこれらの方法を組み合わせて治療にあたることで良好な結果が得られたと考える.

  • 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 田中 貴大, 川島 康輝, 政田 亘平, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1012-1022
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    目的:成人脊柱変形(ASD)に対して側方経路腰椎椎体間固定(LLIF),経皮的椎弓根スクリュー(PPS),multi rodを使用したcircumferential minimally invasive surgery(CMIS)-multi rodにおけるロッド折損(RF)危険因子を検討した.

    対象及び方法:2018年以降当院にてCMIS-multi rodを施行し2年以上経過観察可能であったASD患者102名を対象とした.固定範囲は全例下位胸椎から骨盤までとした.平均年齢は72.1歳,平均経過観察期間は54ヶ月であった.Rodは全例5.5 mmチタン合金を3本使用した.折損の割合,折損時期,折損レベルを調査し,さらに折損群(RF群)と折損無し群(non RF群)において術前後各種パラメーター等比較検討した.

    結果:折損レベルはL3/4で1例,L4/5で9例,L5/S1で3例認め,L4/5のうち2例は癒合後折損であり,また13例中7例は前縦靭帯(ALL)損傷を合併していた.二群間において年齢,性差,ロッド素材,ロッド径,ロッド本数において有意差は認めなかった.RF群において術前後PI,術前及びLLIF後,術後のPI-LL,術前及びLLIF後2/3PI-LLL,PPSによるLLL変化量(PPSΔLLL),術後PTが有意に大きく,術前LLL及び術前TKが有意に小さかった.P<0.01であった術前後PI,術後PI-LL,術前及びLLIF後2/3PI-LLL,PPSΔLLL及びALL損傷の7項目を独立変数とし,多変量解析を行った結果PPSΔLLL及びALL損傷が危険因子となり,ROC解析にてPPSΔLLLのカットオフ値は8度であった.

    結語:ASDに対するCMIS-multi-rodにおけるRF危険因子を検討した.PPSΔLLL及びALL損傷がRF危険因子であった.

  • 宮島 崇人, 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 川島 康輝, 田中 貴大, 政田 亘平, 安藤 宗治, 齋藤 ...
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1023-1031
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    骨性癒合を有する成人脊柱変形(ASD)において,側方経路椎腰椎体間固定(LLIF)単独による骨性癒合解離基準限を調査した.

    対象:2016年から2020年までの間,術前CTで骨性癒合が確認されLLIFとPPSで手術施行したASD患者14名19椎間を対象とした.骨性癒合レベル,骨性癒合形態(前方/後方,片側/両側),骨性解離手順を評価した.骨性癒合形態は前方および後方それぞれにおいて片側癒合もしくは両側癒合に分類した.また後方椎間関節癒合においては,端で架橋するGrade 1と椎間関節裂隙が消失し,強固に癒合しているGrade 2に分類した.解離手順はA:LLIFのみ,PA:後方骨切り(PCO)+LLIF,PA:LLIF+PPS固定とした.

    結果:平均年齢は69.2歳,男性7名,女性7名であった.病態は思春期特発性側弯症(AIS)遺残変形が10例と最多であった.前方単独の骨性癒合,もしくは前後方癒合でいずれも片側癒合の場合は全例LLIF単独で解離が達成されていた.一方前後方癒合のうち,いずれかが両側癒合の症例では前方単独での解離は達成されておらず,すべてPCO併用か,PPSでの矯正時に解離が達成されていた.前後方癒合,後方両側癒合,椎間関節grade 2の1例は解離が達成されなかった.

    結語:ASDにおけるLLIF単独解離達成基準を調査した.前方のみ,もしくは前後方の片側癒合のみであればLLIF単独で解離が達成されていた.前後方癒合のうち,前方もしくは後方のいずれかが両側癒合で椎間関節grade 2であればLLIFによる解離は難しいことが示唆された.

  • 谷 陽一, 田中 貴大, 川島 康輝, 政田 亘平, 朴 正旭, 石原 昌幸, 足立 崇, 谷口 愼一郎, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1032-1039
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:PJKは,ASD手術における合併症の一つであり様々な対策が報告されているが決定的な方法がない.当科では以前,ASDに対する矯正固定術においてUIVとその頭側一椎(UIV+1)にBalloon-assisted vertebroplasty(BVP)を行うことによりPJK予防を試みた経験があるのでその結果を報告する.

    対象と方法:対象は2015年12月以降に上記手術を施行し3年以上経過観察した27例.腰椎部は前方4椎間(L1-2~L4-5)にLLIF,後方は腰椎部にはPPS,胸椎部は椎弓展開後にPS固定を行い,UIVとUIV+1にBVPを行った.UIVではセメント硬化前にPSを刺入した.

    結果:LL,PI-LL,PT,SVA,Cobb angleは術後有意に改善を認めたが,経時的に悪化傾向にあった.術後3年までのPJK,PJFの発生率はそれぞれ48.1%,22.2%であった.UIVとUIV+1間における脊髄圧迫による脊髄症状出現のために緊急手術を要した症例は術後2年までに5例(18.5%)認めた.

    結語:UIVとUIV+1にBVPを行ってもPJK, PJFは予防しきれず推奨できないと考えられる.

  • 清水 篤, 光山 哲滝, 新村 学, 楊 宝峰, 櫻井 公典, 須藤 梓, 大田 快児
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1040-1043
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折で骨癒合不全による腰背部痛が持続する場合,リン酸カルシウムセメントを用いた椎体形成術を行うことがある.しかし術後に隣接椎体に骨折することや矯正損失に伴う後弯変形が進行することがある.当院では海面骨の掻爬を行わず,リン酸カルシウムペーストを椎体内に注入する手法で行っている.その治療成績について検討した.

    対象と方法:2016年12月から2021年9月の間,上記手法にて椎体形成術を行った18例27椎体(平均年齢 78歳)を後方視的に検討した.

    結果:海面骨を掻爬する方法と比較し,除痛効果および椎体楔状率(椎体の前縁高と後縁高の比率と定義)に差は認めなかった.最終検査時の矯正損失も同程度であった.脊柱管内へのセメントの漏出や肺塞栓症は認めなかった.

    結論:今回論じた手法でも海綿骨を掻爬する方法と比較し同等の結果を得られた.

  • 平本 剛士, 酒井 翼
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1044-1047
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:高齢者(特に90歳以上の超高齢者)は併存症が多く,OVF治療において合併症の発生やADL低下等が問題となる.OVFに対するBKPは低侵襲かつ即時除痛,早期ADL回復に有効な治療法であるが,90歳以上の超高齢者にもBKPが有効かつ安全か,施行時期別に検討した.

    対象と方法:対象はOVFと診断されBKPを行った90歳以上の症例で,受傷後14日以内に施行した20例(超早期群)と,受傷後15日以降に施行した15例(待機群)に分けて検討した.検討項目は手術前後の体動時腰痛numerical rating scale(NRS),ADL低下率,入院中合併症の有無,術後新規椎体骨折の有無,受傷前後の骨粗鬆症治療の有無とした.

    結果:術前後のNRSは超早期群平均6.9から3.4,待機群は6.5から2.5と両群有意に改善した.一方,両群間の術前後NRS,ADL低下率,入院中合併症,術後新規椎体骨折の有無,骨粗鬆症治療の有無は有意差を認めなかった.

    結語:超高齢者OVF治療において離床後も疼痛が続きADL障害が著明な場合,柔軟にBKPの施行を検討して良いと思われる.

  • 中原 誠之, 土方 保和, 森井 淳司, 大久保 直規, 波多野 希
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1048-1054
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:ブーメラン型ケージ前後2個設置のTLIF(DB法)は,同ケージ1個設置と比較し椎体間安定性が向上することを報告した.腰椎変性疾患に対するTLIFは,PLIFと同等の臨床成績を収めるが,TLIFにおける矯正損失の課題は克服されていない.

    目的:DB法とPLIFの術後経過でケージ沈下や椎体間骨癒合などの椎体間安定性を明らかにする.

    対象と方法:腰椎変性疾患に対し施行した単椎間のDB法(D群)もしくはPLIF(P群)を対象とした.主要アウトカムに術後1年のケージ沈下(CTで2 mm以上),副次アウトカムに椎体間の非骨癒合割合を比較した.ロジスティック回帰によるケージ沈下発生リスク比を算出した.

    結果:ケージ沈下はD群15例(17%),P群26例(41%)とP群に多く発生した(P=0.002).D群のケージ沈下の調整リスク比は0.56(95%信頼区間0.33~0.97)となり半減した.椎体間の非骨癒合割合はD群33例(38%),P群29例(45%)とD群に少ない傾向であった(p=0.4).

    結語:DB法はPLIFと比較しケージ沈下が少なく,椎体間の安定性を向上できる可能性がある.

症例報告
  • 楊 宝峰, 熊野 潔, 清水 篤, 大田 快児
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1055-1060
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:神経線維腫症1型の脊柱変形は矯正損失や術後偽関節を含め周術期の問題が多く,長期経過観察が必要である.今回,我々は同一術者が術後長期にわたって経過観察しえた2例を報告する.

    症例:症例1は66歳,女性.35歳の時にdystrophic typeの脊柱変形に対し一期的に前後合併手術を施行.経過中に右胸部の神経線維腫が増大してきたが,本人希望で経過観察とした.症例2は60歳,男性.non-dystrophic typeの胸椎側彎で15歳の時にHarrington rodによる後方矯正固定術を施行.偽関節や著明な矯正損失はなく,良好な矢状面と冠状面のアライメントが保たれている.腰痛などの自覚症状なく,両人とも手術の結果に満足している.

    結語:良好な冠状面と矢状面アライメントの獲得が重要であり,術後長期成績に寄与すると考える.

  • 松本 洋明, 松本 淳志, 宮田 至朗, 友金 祐介, 南 浩昭, 増田 敦, 山浦 生也, 吉田 泰久
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1061-1066
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:近年,中枢神経系血管障害に対する血管内治療の進歩が目覚ましい.今回我々は,血管内治療により根治できた脊髄血管病変の2例を経験したので報告する.

    症例:【症例1】64歳,男性.頭蓋内くも膜下出血の精査で頚髄硬膜動静脈瘻を認めた.ヒストアクリルを使用してシャント部の塞栓術を施行し,以後,再出血なく経過している.【症例2】40歳,男性.強い後頚部痛の2日後に,右三角筋・上腕二頭筋の筋力低下およびC5領域の疼痛を呈し,精査で頭蓋外椎骨動脈解離を認めた.解離部分が右C5椎間孔に認められ,右C5神経根を圧迫していたため,それによる神経根症と考えられた.保存的加療が無効であり,flow diverter効果のある脳動脈治療用ステントを留置し,神経根症は速やかに改善した.

    結語:脊髄血管病変に対する血管内治療は,安全かつ有効な治療と思われる.一方でアクセスルートの評価,正常血管との関係性など術前より綿密な評価および手術計画が必要である.

  • 小口 史彦, 渡邉 健一, 砂山 智未, 山口 泰輝, 唐司 寿一, 安部 博昭, 東川 晶郎
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1067-1072
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:Bertolotti症候群は腰仙部移行椎における腰痛を呈する疾患である.Bertolotti症候群に対し腰椎後方椎体間固定術及び偽関節手術を行い治療し得た2例を経験したので報告する.

    症例1:29歳女性,7年前に腰下肢痛を主訴に当科受診,L5横突起は肥大し仙骨との間に偽関節を形成,一部が椎間孔外で神経根を圧排していた.Bertolotti症候群に伴う椎間孔外狭窄の診断にて狭窄部の除圧術を実施.症状の緩和が得られていた.25歳頃から腰下肢痛が再燃.画像上椎間孔外の再狭窄は見られなかった.

    症例2:20歳男性,腰下肢痛を主訴に受診.症例1と同様横突起が偽関節を形成.椎間孔外狭窄は見られなかった.両症例ともBertolotti症候群に伴う偽関節部由来の症状と判断し手術加療を実施,症状の改善を得た.

    結語:Bertolotti症候群は時に神経根症状を呈することがある腰痛症である.本症例は強い腰痛に加え神経根症状と思しき下肢神経症状を自覚していたが,画像所見上椎間孔外狭窄は見られなかったため腰椎後方椎体間固定術を選択,良好な症状の改善を得た.

二次出版
  • 清水 曉, 三宅 茂太, 望月 崇弘, 黒田 博紀, 中居 康展, 隈部 俊宏
    2023 年 14 巻 7 号 p. 1073-1078
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:ハイスピードドリル使用時に,周囲軟部組織との距離を置いていても,基部のシャフトに不可解な巻き付きが起こることがある.この現象を実験により検証した.

    対象と方法:無風の実験室において,直径4 mmのコースダイヤモンドまたはカッティングビットを装着したSignature Drill System(Stryker)を使用した.本ドリルを懸吊したポリプロピレンテープに平行に,かつテープ下端の横4 mmまたは8 mmにシャフトまたはビットが位置するよう設置した.またドライアイスが生じる白煙の上方10 mmに水平に設置した.75,000回転/分で回転させ,テープと白煙の動態をビデオに記録した.

    結果:シャフトの横のテープは回転数増加とともにシャフトに吸引されたが,ビットの横のテープは吸引されなかった.同様に白煙もシャフトに吸い上げられたが,ビットには吸い上げられなかった.

    結語:高速回転するシャフトにより生じる吸引力は,軟部組織が直接接触しなくても巻き付きを起こし得る.

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