2023 年 14 巻 7 号 p. 1055-1060
はじめに:神経線維腫症1型の脊柱変形は矯正損失や術後偽関節を含め周術期の問題が多く,長期経過観察が必要である.今回,我々は同一術者が術後長期にわたって経過観察しえた2例を報告する.
症例:症例1は66歳,女性.35歳の時にdystrophic typeの脊柱変形に対し一期的に前後合併手術を施行.経過中に右胸部の神経線維腫が増大してきたが,本人希望で経過観察とした.症例2は60歳,男性.non-dystrophic typeの胸椎側彎で15歳の時にHarrington rodによる後方矯正固定術を施行.偽関節や著明な矯正損失はなく,良好な矢状面と冠状面のアライメントが保たれている.腰痛などの自覚症状なく,両人とも手術の結果に満足している.
結語:良好な冠状面と矢状面アライメントの獲得が重要であり,術後長期成績に寄与すると考える.