2023 年 14 巻 7 号 p. 1048-1054
はじめに:ブーメラン型ケージ前後2個設置のTLIF(DB法)は,同ケージ1個設置と比較し椎体間安定性が向上することを報告した.腰椎変性疾患に対するTLIFは,PLIFと同等の臨床成績を収めるが,TLIFにおける矯正損失の課題は克服されていない.
目的:DB法とPLIFの術後経過でケージ沈下や椎体間骨癒合などの椎体間安定性を明らかにする.
対象と方法:腰椎変性疾患に対し施行した単椎間のDB法(D群)もしくはPLIF(P群)を対象とした.主要アウトカムに術後1年のケージ沈下(CTで2 mm以上),副次アウトカムに椎体間の非骨癒合割合を比較した.ロジスティック回帰によるケージ沈下発生リスク比を算出した.
結果:ケージ沈下はD群15例(17%),P群26例(41%)とP群に多く発生した(P=0.002).D群のケージ沈下の調整リスク比は0.56(95%信頼区間0.33~0.97)となり半減した.椎体間の非骨癒合割合はD群33例(38%),P群29例(45%)とD群に少ない傾向であった(p=0.4).
結語:DB法はPLIFと比較しケージ沈下が少なく,椎体間の安定性を向上できる可能性がある.