2023 年 14 巻 9 号 p. 1192-1196
はじめに:腰椎後方手術既往のある椎間板ヘルニアに対し後方アプローチによる再手術は癒着や瘢痕組織に阻まれ硬膜神経根損傷のリスクが高まる.
対象と方法:当該高位に手術既往のあった腰椎椎間板ヘルニアを対象とし,同一術者がFELD TF法(Full endoscopic lumbar discectomy transforaminal approach)を施行し,後ろ向きに臨床成績を評価した.
結果:同一術者がFELD TF法を行った内,当該高位に手術既往のあった症例は34例.術後症状は有意に改善した(JOABPEQ:JOA Back Pain Evaluation Questionnaire,VAS:Visual Analog Scale,JOAスコア:日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準,Macnab).FELD TF法は,椎間孔からアプローチする事で骨切除をほぼ行うことなく硬膜外腔癒着組織を避けて椎間板ヘルニアに直接到達し椎間板ヘルニアを切除する事が可能であった.
結語:FELD TF法は手術既往のある椎間板ヘルニアに対する手術療法として有用な選択肢となり得る.