Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
コンドリアーゼ椎間板内注入療法の予後予測因子の検討
富永 冬樹森 英治碇 博哉吉本 隆昌
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2023 年 14 巻 9 号 p. 1239-1245

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抄録

はじめに:腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい低侵襲な治療法であるコンドリアーゼ椎間板内注入療法の短期成績を調査し,予後予測因子を検討したので報告する.

対象と方法:コンドリアーゼ注入療法を行い3ヶ月以上経過観察できた69例(男性48例,女性21例)を対象とした.平均年齢は45.0歳(17~89歳)であり,注入前のtension sign陽性は55例(79.7%)であった.調査項目は注入前と注入1ヶ月後・3ヶ月後の腰痛・下肢痛・下肢しびれVASの推移を調べた.

結果:VAS値は平均で腰痛は注入前5.1が3ヶ月後2.8に,下肢痛は注入前6.9が2.4に,下肢しびれは6.0が3.2にいずれも有意に改善した(t検定,p<0.0001).下肢痛VASが50%以上改善した症例を有効群と定義すると注入後1ヶ月では36例(52%),3ヶ月では52例(75%)が有効であった.注入後3ヶ月での有効群と無効群で比較検討すると,有効群では年齢が若く(40.9±15.1歳vs 57.5±16.8歳,p=0.0011),tension sign陽性例が多かった(86.5% vs 58.8%,p=0.014).また有効群で注入後1ヶ月での下肢痛VASが有意に低下していた(-4.5±2.7 vs -0.2±2.1,p<0.0001).

結語:若年者や投与前のtension sign陽性の症例,注入後1ヶ月での下肢痛VASが改善している例で投与後3ヶ月に効果を期待できる結果であった.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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