2024 年 15 巻 11 号 p. 1259-1265
はじめに:神経筋原性側弯症に合併する側弯症は進行しやすく重度になると致死性呼吸障害を合併する.その原因の一つに気管狭窄があるが,関連する因子は不明である.
対象と方法:胸椎部の側弯をもつ神経筋原性側弯症に対して胸部CTを撮影した16名を対象とした.気管狭窄の定義は主・葉気管支の狭窄とし,CT再構成像で評価した.測定項目は単純X線臥位正面像における側弯Cobb角,側面像における胸椎後弯角(T1~12),気管狭窄率,大動脈もしくは腕頭動脈による圧迫の有無,気管狭窄部椎体と肋骨との距離,圧迫椎体の胸骨椎体中心からの側方偏位距離,胸郭縦横比,とした.
結果:調査時年齢は平均15歳(6~21),側弯Cobb角は平均97度(39~137),胸椎後弯角は平均18度(-20~74),気管狭窄率は平均26%(0~76),気管圧迫に直接関与する椎体はT6が最多だった.気管狭窄がある群とない群を比較すると,胸椎後弯角の減少と胸郭縦横比の低下に有意差があり側弯Cobb角は有意差がなかった.
結語:神経筋原性側弯症における気管狭窄と関連する因子は胸椎後弯角が少ないことと胸郭縦横比が小さいこと,すなわち「薄い胸郭」だった.