2024 年 15 巻 11 号 p. 1266-1271
はじめに:脳性麻痺に伴う神経筋原性側弯症(NMS)は進行が早く,手術時には高度側弯となっていることが多い.本研究では重度脳性麻痺に伴う神経筋原性側弯症に対しDual attending surgeonによる脊柱後方固定術の治療成績,周術期合併症について検討した.
対象と方法:重度脳性麻痺(GMFCS IVまたはV)に伴うNMSに対して脊椎後方固定術を施行した31例を対象とした.Dual attending surgeon approachとして手術開始時より両側から執刀医2人で手術を施行したD群(12例)と執刀医1人と助手で手術を施行したS群(19例)に分け検討した.
結果:術前メインカーブのCobb角はD群133度,S群106度,骨盤傾斜はD群39度,S群26度といずれも有意差を認めた(P<0.05).手術時間はD群212分,S群487分でありD群で有意に手術時間が短縮されていた(P<0.01).メインカーブの矯正率はD群41%,S群57%と有意にD群で低かったが(P<0.01),T1-12高の増加量はD群51 mm,S群44 mmと差を認めなかった.周術期合併症はD群で4例(33%),S群16例(84%)に認めD群で有意に周術期合併症が少なかった(P<0.01).
結語:重度脳性麻痺に伴うNMSに対するDual attending surgeonによる脊柱後方固定術は手術時間を大きく短縮し,周術期合併症を減少させることができた.