Journal of Spine Research
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Print ISSN : 1884-7137
症例報告
脊髄終糸の過緊張によって生じた腰痛の2例
貝沼 慎悟福岡 宗良渡邊 宣之山田 宏毅遠藤 浩二郎井村 直哉桑山 剛片岡 真弥伊藤 慈紘宮下 竣
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2024 年 15 巻 4 号 p. 726-731

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抄録

はじめに:Tight filum terminale(TFT)とは,脊髄終糸の緊張により脊髄円錐部が牽引されて神経症状を呈するものであり,頑固な腰痛や下肢痛の原因の1つとして報告される.MRIなどの画像では異常を判断しにくいため,未治療のまま放置されることがある.

症例1:13歳 男性.2ヶ月前,運動中に腰痛が出現.腰痛で座位をとるのも困難であった.体幹および頚部の前屈で疼痛を誘発させるテスト(TFT誘発テスト)は陽性であった.CTミエログラフィーでは腹臥位および仰臥位で緊張した脊髄終糸が確認できた.脊髄終糸の切離を行い,腰痛は改善してTFT誘発テストも陰性となった.

症例2:47歳 男性.2ヶ月前,長時間の運転後に腰痛が出現.腰椎の前屈で腰痛は増悪し,TFT誘発テストは陽性であった.歩行は痙性のために不安定であった.頚椎・胸椎には異常所見を認めなかったが,CTミエログラフィーで脊髄終糸が確認できた.脊髄終糸の切離を行い,腰痛は改善して歩容も若干改善した.TFT誘発テストも陰性となった.

考察:画像診断で神経圧迫所見のない腰痛・両下肢痛の鑑別診断として,TFTを考慮する必要がある.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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