Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
総説
仙腸関節痛の発生メカニズムに基づく評価と治療
金岡 恒治森戸 剛史江崎 日奈子
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 15 巻 6 号 p. 821-826

詳細
抄録

仙腸関節障害の病態は明らかにされていないが,仙腸関節の機能的安定機構としての骨盤内在筋(腹横筋や骨盤底筋)が骨盤外在筋より遅れて活動することを繰り返すことで,構造的安定機構である後仙腸靭帯への負荷が増加することによる障害と推察される.その症候としては,骨盤輪に負荷が加わる動作や姿勢による疼痛の誘発,骨盤輪への各種ストレステスト陽性所見,後仙腸靭帯等の圧痛が挙げられる.また我々の調査においては自動下肢伸展挙上時の下肢位置覚が低下していること,また背臥位膝伸展位では足関節背屈力の低下を認めないにもかかわらず膝立て位では低下することを観察している.これらの症候を呈する患者に対しては仙腸関節障害を疑い,後仙腸靭帯部へのブロック注射を試行し,症状が一時的にでも軽減した場合には仙腸関節障害と診断する.本障害に対してはさまざまな治療方法が行われているが,超音波画像診断装置を用いて腹横筋の単独での収縮様式を指導し,動作開始前に骨盤外在筋に先んじて腹横筋が収縮するモーターコントロールを学習させることが有用と考える.

Fullsize Image
著者関連情報
© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top