2024 年 15 巻 6 号 p. 827-832
背景:Type 1 Modic変化は腰痛をもたらす.機械的刺激がその発生要因の一つであるが,特定の動きがもたらす影響については報告が少ない.本研究では,特定の動作を反復して行うことが多いトップアスリートのModic変化の発生部位を調査し,スポーツ毎の局在について検討した.
方法:まず,腰椎モデルの3D有限要素解析を用いて各動作において椎体終板のストレスが最も加わる部位を調査した.次に,Type 1 Modic変化による腰痛(17椎間)と診断されたトップアスリートのMRI STIR画像を用いて,信号変化が生じている部位を前方・後方・右側・左側と全体の5群に分類した.
結果:有限要素解析の結果は,屈曲した方向で終板ストレスが増加していた.MRIによる局在の調査では,右利きゴルファーでは全例右側に発生していた.また格闘技や競馬騎手も,最も競技中に行われる動作とModic変化発生部位と関連していた.このように競技特異性がみられたものは11椎間(65%)であった.
結語:頻回に行われる動作はModic変化の発生につながりやすく,その局在も特異的な部位に発生しやすいことが明らかになった.この知見は,Modic変化発生機序の解明や,診断・治療に役立てられると考えられた.