2024 年 15 巻 8 号 p. 1067-1072
はじめに:Full-endoscopic Posterior Cervical Foraminotomy(FPCF)は頚椎神経根症に対する低侵襲で優れた術式として知られている.しかしFPCFの安全かつ確実な手術手技の習得にはラーニングカーブが存在し,その詳細は不明である.今回我々は,FPCFのラーニングカーブと手術手技習得の際の留意点について検討した.
対象と方法:頚椎神経根症に対し,同一術者が単椎間FPCFを施行した55例を対象とした.術者はFED IL/TF法を助手として20例,執刀医として5例経験したのちにFPCFを初めて執刀した.FPCF初執刀から20例目を初期,21~40例目を中期,41~55例目を後期とした.手術時間,上肢痛・しびれVAS改善率,椎間関節切除率を評価項目とした.
結果:罹患高位はC4/5:6例,C5/6:26例,C6/7:22例,C7/T1:1例であった.連続値を使用した手術時間は症例数が増すほど短縮する傾向にあった.平均手術時間は初期90.8±29.6分,中期75.6±27.4分,後期70.5±17.4分であり,症例数が増すほど手術時間は短縮する傾向にあった(p=0.044 for trend).上肢痛・しびれVAS改善率は初期87.5±27.5%,中期77.0±25.3%,後期76.1±30.6%,椎間関節切除率は初期27.2±11.8%,中期33.9±9.5%,後期30.3±14.0%であり,統計学的に有意な傾向はなかった(p=0.081 for trend,p=0.50 for trend).
結語:腰椎FESSの経験の浅い術者においてもFPCFを執刀可能であり,初期症例からVAS改善率は良好であった.