2024 年 15 巻 8 号 p. 1059-1066
はじめに:肥満は脊椎手術合併症の危険因子となるが,全内視鏡下椎間板摘出術(full-endoscopic discectomy:FED)との詳細な関係は不明である.
方法:2020年1月から2022年6月に当院でFED-interlaminar(IL)法を,L4/5もしくはL5/S1単椎間に施行症例を対象とした.BMI,体表-椎間板距離,手術時間,椎間関節温存率,合併症発生率を評価し,BMI≦20(T群),22≦BMI≦28(C群),BMI≦30(O群)の3群間で比較した.
結果:全264症例が研究に含まれ,T群30,C群188,O群31例であった.BMIまたは体表-椎間板距離と,手術時間または椎間関節温存率に有意な相関は無かった.硬膜損傷・血種・感染は発生せず,O群では糖尿病罹患率が35%と高かったが,合併症,在院日数は増加しなかった.T,C,O群の疼痛VAS改善率(81% vs 77%vs 78%),腰椎JOAスコア改善率(87% vs 85% vs 88%)および再手術率(3% vs 8% vs 6%)に有意差は認めなかった.
結論:肥満腰椎椎間板ヘルニア患者においてFED-IL法は有用な治療法である.