2024 年 15 巻 9 号 p. 1171-1178
はじめに:腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法後のModic changeの推移について検討した.
対象と方法:コンドリアーゼ注入療法を施行し6ヶ月以上経過観察できた74例(男性48例,女性26例)を対象とした.平均年齢は46.8歳(17~80歳)であった.調査項目は注入前・注入後1・3・6ヶ月の腰痛のVisual Analog Scale(VAS)とMRIでのModic changeの推移と椎間板変性の進行の有無を調べた.
結果:腰痛VASは注入前5.2±2.7が注入後6ヶ月2.2±2.0に改善した.Modic changeは注入前がtype 1が3例,type 2が13例,type 3が1例で,注入後6ヶ月後はそれぞれ15例,9例,1例であった.新たにtype 1が出現したのが注入後6ヶ月で8例,type 2が1に変化したのが4例であった.椎間板変性の進行は41例に認めた.Modic changeの変化を認めた12例とそれ以外の症例で比較検討し,椎間板変性の進行と有意な相関は認めず,腰痛VASとも相関はなかった.
結語:コンドリアーゼ椎間板内注入療法後のModic changeの変化は注入後6ヶ月で12例(16.2%)に認めたが,臨床成績には影響を認めなかった.