2025 年 16 巻 2 号 p. 58-64
はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)保存療法後にADL障害が遺残する症例の臨床経過と危険因子を,ODIを用いて検討した.
対象と方法:60歳以上の新規OVFに保存療法を行い1年経過観察できた125例を対象とした.初回,3ヶ月,12ヶ月でODI,JOABPEQを評価し,12ヶ月でODI>40%をADL障害遺残群,ODI≦40%を遺残なし群とし両群を比較した.ODI>40%を目的変数,単変量解析でP<0.1を説明変数として多変量解析を行った.
結果:12ヶ月でADL障害遺残は34例(27%)に認めた.3ヶ月までは両群共に臨床成績は改善し,以降は遺残なし群では改善,遺残群では増悪した.遺残群は高齢で,初回のJOABPEQ歩行機能,社会生活,心理的障害,ODIが悪かった.患者背景や画像的因子に有意差を認めなかった.多変量解析で高齢,初診時ODI高値が独立危険因子であった.
結語:OVFにおけるADL障害遺残は27%に認め,その臨床経過は3ヶ月では改善するも以降増悪した.偽関節や続発OVF等はADL障害遺残に有意な関係は認めなかった.