Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
骨粗鬆症性椎体骨折保存療法後のADL障害遺残症例における臨床経過とその危険因子の検討~多施設前向き研究~
山浦 鉄人圓尾 圭史楠川 智之波多野 克都井 政和長尾 和磨堀之内 豊有住 文博木島 和也吉江 範親橘 俊哉
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2025 年 16 巻 2 号 p. 58-64

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抄録

はじめに:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)保存療法後にADL障害が遺残する症例の臨床経過と危険因子を,ODIを用いて検討した.

対象と方法:60歳以上の新規OVFに保存療法を行い1年経過観察できた125例を対象とした.初回,3ヶ月,12ヶ月でODI,JOABPEQを評価し,12ヶ月でODI>40%をADL障害遺残群,ODI≦40%を遺残なし群とし両群を比較した.ODI>40%を目的変数,単変量解析でP<0.1を説明変数として多変量解析を行った.

結果:12ヶ月でADL障害遺残は34例(27%)に認めた.3ヶ月までは両群共に臨床成績は改善し,以降は遺残なし群では改善,遺残群では増悪した.遺残群は高齢で,初回のJOABPEQ歩行機能,社会生活,心理的障害,ODIが悪かった.患者背景や画像的因子に有意差を認めなかった.多変量解析で高齢,初診時ODI高値が独立危険因子であった.

結語:OVFにおけるADL障害遺残は27%に認め,その臨床経過は3ヶ月では改善するも以降増悪した.偽関節や続発OVF等はADL障害遺残に有意な関係は認めなかった.

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© 2025 Journal of Spine Research編集委員会
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