Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
短報
一般病棟で看取りのケアのクリニカル・パス Liverpool Care Pathway日本語版を導入するための課題―大学病院での使用経験から
菅野 雄介佐藤 一樹早川 陽子瀧田 好恵我妻 崇史千葉 友子本田 和子柴田 弘子山内 かず子高橋 信井上 彰宮下 光令
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2015 年 10 巻 1 号 p. 318-323

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抄録
本研究の目的は,Liverpool Care Pathway(LCP)日本語版を導入するための課題を明らかにすることである.LCP日本語版の導入期間中に死亡した患者の診療記録調査と,医師2名と看護師8名を対象としたインタビュー調査を行った.LCP日本語版を使用した患者は22名(38%)であり,使用しなかった患者との死亡前48時間以内の輸液,強オピオイド鎮痛薬と鎮静薬の投与に有意な差はなかった.LCP日本語版を導入して良かったことは,【医療者間で看取りのケアの方針を再確認できた】【看取りのケアを体系的に学べた】であり,導入して難しいと感じたことは,【LCP日本語版の開始の判断が難しかった】【医療者の負担が大きかった】【看取りの基礎知識や経験がないと使えない】であった.一般病棟でLCP日本語版を導入していくためには,看取りのケアの教育と緩和ケアの専門家によるバックアップ体制の構築の必要性が示唆された.
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© 2015 日本緩和医療学会
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