【目的】緩和ケア病棟を有する医療機関における鍼灸治療の実態を明らかにすることを目的とした.【方法】緩和ケア病棟入院料加算を受けている医療機関244施設の病棟長ないし看護師長を対象に,自記式質問紙調査を行った.【結果】回答が得られた98施設中6施設(6.1%)において,鍼灸治療が実施されていることが明らかとなった.治療対象となる愁訴については「疼痛」「倦怠感」「便秘」などが挙げられていた.緩和ケア領域において鍼灸師が関わることは,ケアの多様性の1つとしての意義があると指摘されていた.その一方で,鍼灸治療を病院で行う困難さが指摘されており,鍼灸治療が同領域において実践されるうえでの課題が明らかとなった.【結語】ケアの多様性の1つとして鍼灸治療が緩和ケアに関わる意義があると考えられる一方で,医療機関で鍼灸治療が実践されるための方法を検討していく必要がある.