Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
フェンタニル舌下錠を投与後,6時間の意識障害をきたした1例
李 美於新城 拓也
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2015 年 10 巻 2 号 p. 527-530

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抄録

本邦では,フェンタニル舌下錠,フェンタニルバッカル錠が,がん疼痛の突出痛に対して投与可能となった.しかし,どのような病態の患者,またどのような突出痛にフェンタニル粘膜吸収剤を投与するか,具体的な報告は少ない.フェンタニル粘膜吸収剤の投与を推奨できない症例を提示する.77歳,男性,直腸がんの胸椎転移に対して,フェンタニル貼付剤 12.5μg/時を投与中,突出痛には,化学療法による悪心,嘔吐があったため,フェンタニル舌下錠 100μgを投与した.強い突出痛に対して,フェンタニル舌下錠を初めて使用したところ,6時間意識障害をきたした.重篤な呼吸状態の悪化がなかったため,経過観察した.回復後の後遺症はなかった.定時投与するオピオイドが経口モルヒネ換算 30 mg(オキシコドン 20mg,フェンタニル貼付剤 12.5μg/時)の患者に対しては,フェンタニル舌下錠 100μgを投与しない方がよい.

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© 2015 日本緩和医療学会
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