抄録
【目的】ホスピス・緩和ケア病棟から退院した患者の遺族から,ご遺体へのケアにおける家族の体験と評価を明らかにする.【方法】103施設の遺族958人に質問紙調査を行い,回答した597人の中の自由記述の内容分析を行った.【結果】193人の自由記述から,162人を分析対象とした.162人から301のデータを抽出し,ご遺体へのケアでの満足や不満,行うことへの気がかりや不安などの体験を得た.最終的に3つのカテゴリに分類し,【良い体験としての評価】【つらい体験としての評価】【疑問や戸惑いの体験としての評価】とした.【結論】家族への配慮として,ご遺体は声をかけ丁寧にやさしく扱い,化粧は穏やかで安らかな表情にする.衣服や身に着ける物は早めに準備するように伝える必要がある.家族がケアを行うことは,思い出や死別を受け入れる体験になるが,内容を説明してできることを選択してもらうことや,行えそうかを見極めて勧める必要がある.