Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
短報
悪性腫瘍による脊髄圧迫に対する診断から放射線治療開始までの遅延の後方視的解析
工藤 千枝子二井谷 友共和田 仁佐藤 悠子市川 園子井上 正広杉山 克郎
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2015 年 10 巻 3 号 p. 305-309

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抄録
 【目的】悪性腫瘍による脊髄圧迫の症状出現から治療までの遅延と転帰を検討する.【方法】地域中核病院にて診断された25症例を診療録を元に後方視的に解析した.【結果】脊髄圧迫によりがんの診断となった患者(初診患者)は12例,がんの診断で通院中の患者は13例であった(再来患者).92%の患者は疼痛が初発症状であり,疼痛から神経障害出現までの期間は約2カ月(中央値56日)であった.症状発現から治療までの期間は,初診患者が中央値79日,再来患者が同41.5日であった.症状発現から病院受診までは各53日,9日.受診から診断までは各5日,8日,診断から治療までは各11日,14日であった.麻痺出現前に治療を行った9例中8例は麻痺が出現しなかったが,麻痺出現後に治療を行い麻痺の改善を認めたものは10例中4例であった.【結論】治療に至る種々の過程で遅延が生じ転帰を悪化させていると考えられた.
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© 2015 日本緩和医療学会
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