抄録
わが国で高齢者ケア施設は新たな看取りの場として期待されている.本研究の目的は,文献検討により日本の高齢者ケア施設における看取りの質の評価・改善に関する研究の動向を明らかにすることである.文献検索の結果抽出された23文献を介入研究4件,介入のための教育・質改善ツール開発3件,調査研究13件,質的研究3件に分類した.高齢者ケア施設でのケアの質に関する研究は微増傾向にあるが介入研究は少なかった.看取りの実施要因として施設長・看護管理者の方針や,医療機関との連携,家族の明確な意思決定などがあった.職員の抱える課題や教育ニーズ,介護職へのサポートの必要性が示されていた.以上より高齢者ケア施設での看取りに関する介入研究,施設長・看護管理者への支援,入居者・家族の意思決定支援や,職員対象の教育プログラムの開発などが高齢者ケア施設における看取りの質改善に有用と考えられた.