Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
ナショナルデータベースを用いた,がん患者の死亡2週間前の終末期医療の質の評価:サンプリングデータセットの活用とその限界
佐藤 悠子藤森 研司石川 光一佐藤 一樹石岡 千加史宮下 光令
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2016 年 11 巻 2 号 p. 156-165

詳細
抄録
【目的】保険診療情報が格納されたナショナルデータベース(National Data Base,以下NDB)を用いた,終末期がん医療の質の評価の実現可能性と限界を検討した.【方法】NDBのサンプリングデータセット(Sampling Data Set,以下SDS)を用いて,2012年10月の死亡がん患者を対象に死亡14日以内の心肺蘇生術と化学療法の実施率を算出した.【結果】対象者1,233例を解析した.心肺蘇生術と化学療法の実施率は,入院死亡症例(n=1079)で8.2%,3.5%であった.SDSの仕様では,解析対象の化学療法薬剤の27-70%が匿名化されていた.【考察】SDSでは匿名化処理や入院と外来レセプトが紐付けされない等の問題から,過小評価の可能性があり結果の解釈に注意を要する.しかしながら,NDBの特別抽出であればこれらの問題の一部は解決でき,同様の手法で質の評価は可能と考えられた.
著者関連情報
© 2016日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top