2018 年 13 巻 3 号 p. 245-250
【目的】緩和ケア病棟併設のない病院の療養病棟での緩和ケアの実態を明らかにし,療養病棟における緩和ケア推進のための課題を検討する.【方法】東京都の211の療養病棟管理者へ無記名自記式質問紙調査を行った.医療用麻薬の管理と使用実態,緩和ケアに習熟した医師・看護師の存在,がん患者の受け入れ体制,非がん緩和ケアへの認識,療養病棟での緩和ケアにおける困難について質問した.【結果】55施設から回答を得た.89.1%ががん患者を受け入れ医療用麻薬も使用可能だが,緩和ケアに習熟した医師がいる施設は32.7%であった.7割以上が非がん緩和ケアを重要視し取り組んでいた.緩和ケアに習熟した医師のいない施設では,専門知識・技術,麻薬投与,苦痛緩和についての困難感が有意に高かった.【結論】多くの療養病棟でがん・非がん緩和ケアに取り組みつつ,困難感も抱えている.緩和ケアに習熟した医師の存在は困難感を低減させる可能性が示唆された.