2020 年 15 巻 3 号 p. 185-198
【目的】不可逆的悪液質のケアに対して緩和ケア病棟看護師が抱く困難の実態とその関連要因を明らかにする.【方法】緩和ケア病棟看護師に無記名自記式質問紙調査を実施し,郵送にて回収した.分析は因子分析,重回帰分析を用いた.【結果】169名を分析対象とした.不可逆的悪液質のケアに対する困難は,6因子が抽出された.[衰えや死に直面した患者や家族の無力感や葛藤への対応]の困難の得点が最も高く,この困難が高いと他5因子の困難も高い傾向にあった.[不可逆的悪液質のケアを行うためのアセスメントや判断]は,配属年数や関わる程度,学習機会で困難の程度が異なった.[看護師自身のセルフケア]は,配属年数が3年以上で困難が低下する傾向にあった.【結論】不可逆的悪液質のケアに対する困難として6因子が示され,患者や家族との思慮深い対話や看護師への教育支援の必要性が示唆された.