2020 年 15 巻 3 号 p. 205-212
本研究の目的は,患者の鎮静の意思決定に関わる看護師の認識を明らかにすることである.ホスピスに勤務する看護師6名を対象に半構成面接を行い,質的記述的研究法を行った.看護師の認識として[意思決定に関わる困難感],[患者の意思を重視する態度],[意思決定に関わるための対処行動]を抽出した.看護師は患者に死を意識させる懸念に関連する困難感を抱えており,看護師が抱える負担は大きく,鎮静の説明や意思確認は容易ではないことが示唆された.一方,看護師の倫理観に基づく判断など患者の意思を重視する態度も見られた.患者の鎮静の意思決定に関わる看護師の心理的支援として,多職種での話し合いの必要性が挙げられた.また教育的示唆として,経験の必要性が挙げられ,鎮静の意思決定に関わるロールプレイなどの体験を通した教育が必要である.