Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
オピオイド鎮痛薬導入時の悪心・嘔吐の予測因子の探索と化学療法の影響
山田 正実松村 千佳子地丸 裕美上野 理恵鳥井 小莉高橋 一栄矢野 義孝
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キーワード: OINV, 予防的制吐薬, 化学療法
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2020 年 15 巻 3 号 p. 213-220

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抄録

オピオイド誘発性悪心・嘔吐(OINV)に対する予防的制吐薬の有用性はエビデンスが少なく,日本緩和医療学会ガイドラインでも必須ではないが,OINVを含むオピオイド鎮痛薬導入時の副作用の予防は,適切な疼痛マネジメントとアドヒアランス向上の重要な課題である.従ってOINVに影響を与える因子の探索と軽減させる手段の検討は有用である.カルテ調査の結果,悪心は,女性,予防的制吐薬,化学療法,ステロイド薬,嘔吐は女性,放射線が有意な因子となった.とくに女性においてオピオイド導入日に化学療法の制吐薬を併用して化学療法を実施した群は,化学療法を実施していない群,化学療法を実施したがオピオイド導入日に化学療法の制吐薬を併用しなかった群に比べ有意に悪心発症の頻度が低かった.OINVが懸念される女性において,化学療法の制吐薬を併用したうえで同日に化学療法を実施することはOINVを予防する一つの方策になり得ると考える.

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© 2020日本緩和医療学会
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