2020 年 15 巻 3 号 p. 251-258
【目的】アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning: ACP)に関する病院職員の意識と実践として,ACPの認知度,終末期医療に関する家庭内での話し合いや文書化の状況等を調査し,今後重点的に介入すべき点を把握して緩和医療の質的向上に資する.【方法】病院職員782名を対象として無記名自記式調査票により調査した.【結果】「家族や自分の終末期医療に関する希望について,家庭内で話し合ったこと」が「ある」のは146名(27.7%),「家族や自分が意思表示できなくなった場合の代理意思決定者について,家庭内で話し合ったこと」が「ある」のは58名(11.0%)と限られていた.それらの内容を文書化していたのは6名(1.1%)であり,話し合いの結果はほとんど書面として残されていなかった.【結論】ACPに関する病院職員の意識と実践は未だ発展途上であり,よりよい緩和医療を提供するうえで,職員自身もさらに知識理解や経験を深めていく必要性が明らかとなった.