【緒言】悪性腫瘍に合併した続発性全身性多汗症に対して推奨されている治療法はないが,症状緩和にオピオイドが有効であった症例を経験した.【症例】64歳女性.右腎細胞がん(右腎摘除術後),骨転移,肺転移,左副腎転移と診断され,右股関節部のがん疼痛と,突発する全身多量発汗の症状緩和目的で緩和ケア病棟に入院した.がん疼痛に対しては,入院前から使用していたフェンタニル貼付剤を増量することによりレスキューが必要ない状態となった.発汗に対しては,腫瘍熱と考え解熱鎮痛薬とステロイドを使用したが効果を認めず,オキシコドン速放製剤を予防的に使用することにより症状緩和が得られた.【考察】本症例の発汗には視床下部とフェンタニル貼付剤が関与したと考えられる.オピオイドは視床下部に作用し発汗を抑制する可能性がある.