Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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短報
緩和ケア病棟の内服困難ながん終末期患者へのヒドロモルフォン塩酸塩持続皮下注開始時の悪心・嘔吐予防としてのブロナンセリン経皮吸収型製剤の使用経験
加藤 恭郎 德岡 泰紀
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2022 年 17 巻 4 号 p. 147-152

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抄録

内服困難ながん終末期患者にオピオイド鎮痛薬の持続皮下注(以下,CSCI)を開始する場合,悪心・嘔吐予防にハロペリドール(以下,HPD)の混合が広く行われている.しかしHPDにはCSCI部皮膚障害の危険がある.そこで当院ではヒドロモルフォン塩酸塩(以下,HYM)CSCI時の悪心・嘔吐予防としてブロナンセリン経皮吸収型製剤(以下,BLO-P)を用いてきた.今回,オピオイド鎮痛薬使用歴がなく,他の制吐剤や抗精神病薬の併用がなく,1週間以上経過観察できた例を後方視的に検討した.BLO-P使用5例では悪心・嘔吐はなく,BLO-P貼付部,CSCI部の皮膚障害もなかった.HPD併用5例では,1例に悪心,2例にCSCI部皮膚障害がみられた.BLO-PはHYMのCSCI時の悪心・嘔吐予防として選択肢の一つになり得ると思われた.

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© 2022 日本緩和医療学会
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